静かに。愛が聴こえる                    咲妃羽 唯葉

どうしても、手に入らないものがある。

デュオ・マックスウェルの心。

何度唇を重ねても。

幾度体を繋げようと。

その度愛を囁こうが。

アイツには関係ない。

ただ、困ったように微笑むだけ。

『そっか』

いつも一言つぶやいて。

決して信じない。

 

でも俺は。

理由を知っているから。

アイツがひどく。

臆病だということを。

与えられた温かさに。

素直に縋り付けない。

過去を持っていることも。

誰よりも孤独を好むくせに。

誰よりも愛を求めていることさえ。

知っていてなにもできない。

 

でも。

そうだとしても。

それを。

俺は変えてやるために。

アイツを。

愛したのだとは。

きっと。

一生アイツは気づかない。

それでもいい。

アイツが一生を終えたとき。

俺はそばにいて。

全身全霊をかけて。

『愛している』と。

言ってやれば。

アイツはやっと微笑むだろう。

心からの笑顔で。

どうしても、手に入れてはならないものがある。

ヒイロ・ユイの心。

何度その唇を受け止めても。

幾度その体を受け入れようと。

その度愛を囁かれようが。

あいつには届かない。

ただ無表情に見つめるだけ。

『・・・』

なにも言わずに。

睨むように見つめるだけ。

 

でもオレは。

理由を知らないから。

アイツがとても。

優しいということの。

紡がれた言葉に。

大した期待を持たず。

オレを愛し続けるということも。

誰よりも高貴なくせに。

誰よりも人を惹きつけることさえ。

知らないからどうすることも出来ない。

 

でも。

そうだとしても。

確かに。

オレはあいつを愛していて。

あいつに。

伝えられないだけだということを。

きっと。

アイツはもう気づいている。

それでもいい。

あいつが一生を終えるとき。

オレもそばにいて。

全身全霊をかけて。

『愛している』と。

言えるなら。

あいつはやっとこう言えるだろう。

『知っている』と。

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